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公正証書遺言があってももめるケースとは?対処法も併せて解説

公正証書遺言は自筆証書遺言等他の方式の遺言とは異なり、その作成にあたって公証人が関与することとなります。

そして、公証人とは、基本的に法曹資格者や、法曹資格者に準ずる学識経験を有する者が就任するのが通常です。

公正証書は専門的知識を有するものがその作成に関与する点で、要件の不備により遺言が無効となる可能性や、文言の解釈をめぐる争いが起こる可能性が低いということができます。

もっとも、公正証書遺言の方式により遺言が作成された場合であっても、後述するように①遺言の有効性をめぐって争いが発生するケース、②遺言の内容が遺留分を侵害することを原因として争いが生じるケースが存在します。

以下、代表的なケースを例にとって解説いたします。

遺言の有効性をめぐって争いになるケース

遺言の有効性をめぐって争いになるケースとしては、①遺言者が遺言当時、遺言能力を有していなかった可能性があるケース、②遺言者が遺言当時、錯誤に基づいて遺言を作成したケースなどが考えられます。

遺言者が遺言能力を有していなかったケース

有効な遺言を作成するためには、遺言者が遺言時に「遺言能力」を有している必要があります。

ここにいう遺言能力とは、遺言の内容を理解し、遺言によって生じる法律効果を理解できる意思能力のことを指し、15歳以上であれば遺言能力が認められるのが原則です(民法961条)。

もっとも、15歳以上の者であっても、遺言者が遺言当時、認知症等に罹患していた場合には、遺言能力を欠いていた可能性を否定できません。

公正証書遺言を無効と判断した裁判例において、理由としてもっとも多く見られるのが、遺言者が遺言当時認知症に罹患しており、遺言能力を有していなかった可能性が認められるというものになっています。

なお、遺言者が遺言時において認知症に罹患していた場合であっても、必ずしも遺言能力を有していなかったと判断されるわけではなく、認知症の程度や遺言内容の複雑さ等の諸般の事情を考慮し、遺言能力の有無が判断されることには注意が必要です。

遺言者が遺言当時錯誤に陥っていたケース

遺言者が遺言当時意図していたことと、遺言の内容に齟齬が存在する場合、つまり遺言者が遺言当時錯誤に陥っていた場合には、当該公正証書遺言は無効となる可能性があります(2020年4月1日以降に作成された遺言については、無効ではなく取消しの対象となります)。

なお、遺言が錯誤を原因として無効と認められるためには、遺言に記載された事項のうち、些細な事項や周辺的な事項に誤解があるのみでは足りず、「遺言者が真実を知っていたならばその遺言をしなかったといえること」が必要となります(さいたま地裁熊谷支部平成27.3.23判決)。

遺言の内容が遺留分を侵害するケース

公正証書遺言の有効性自体に争いがない場合であっても、公正証書の内容が他の相続人の遺留分を侵害する者である場合、遺留分を侵害された相続人と他の相続人との間でトラブルが発生する可能性があります。

遺留分とは、被相続人の配偶者や子に保証された最低限の相続分のことを指します。

遺留分の割合は以下のとおりです(民法1042条)。

なお、被相続人の兄弟姉妹には遺留分は認められません。

 

・配偶者または子が相続人である場合: 2分の1

・直系尊属(父母や祖父母)のみが相続人である場合: 3分の1

 

遺言の内容がある相続人の遺留分を侵害するものであった場合でも、遺言そのものが無効となることはありませんが、遺留分を侵害された相続人から他の相続人に対して、侵害された遺留分相当額を金銭にて支払うよう請求される可能性(「遺留分侵害額請求」といいます。)がなされる可能性があります。

公正証書遺言をめぐるトラブルを避けるためには

・弁護士に相談した上で公正証書遺言を作成する

まずは、公正証書遺言の作成に関し、相続問題に詳しい弁護士に相談することが考えられます。

作成の段階から弁護士に相談することにより、トラブルの発生を防ぐ観点からの適切なアドバイスを受けることができるとともに、原案の作成や公正証書作成にあたっての公証人との調整などの手続きを任せることができる場合もあります。

 

・医師の診断書を用意しておく

上述のように、遺言者が遺言作成当時における遺言能力に疑いがある場合、遺言の有効性をめぐってトラブルが発生する可能性があります。

仮に、遺言無効確認訴訟等において、遺言能力の有無が問題となった場合、遺言者の生前の診断書等が非常に重要な証拠となりますので、相続開始後のトラブル発生を少しでも懸念される方は、あらかじめ医師の診断書を取得しておくことをおすすめします。

遺言についてお悩みの方は桐井法律事務所までご相談ください

桐井法律事務所では、遺言一般に関する相談に加え、公正証書の作成のサポートも行なっております。

遺言に関してお悩みの方は、桐井法律事務所までお気軽にご相談ください。

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資格者紹介

桐井 弘司<先生

桐井 弘司Kirii Koji

地域に密着した気軽に利用できる法律事務所を目指してまいります

私は、どのような事件であっても、すべてその背後にはそこに関わる人の思いがなければ争いにならないし、また解決にも結びつかないと考えています。
したがいまして、単なるお金の貸し借りであっても、金銭的な損得に限定することなく、依頼者様がどのような思いで弁護士に相談しようと決断されたのか、どのような解決が本当に満足していただけるのかを常に考え、依頼者様と向き合っていこうと心がけています。

所属等
  • 愛知県弁護士会(27132)
経歴
  • 2000年4月 弁護士登録
  • 2002年9月 桐井法律事務所開設
  • 2016年4月 平成28年度愛知県弁護士会副会長就任
経歴
  • 子どもの権利委員会 委員
  • 広報委員会 記念行事顧問・中京テレビ担当
  • 司法修習委員会 委員
  • 紛争解決センター運営委員会 委員
  • 法教育委員会 委員
  • 国際委員会 委員
  • 法律援助事業・法テラス対応委員会 被疑者援助部会長
  • 人権擁護委員会 委員
  • 会則会規等委員会 委員
  • 若手会員育成支援特別委員会 委員
  • 就職・採用プロジェクトチーム 委員
  • 東日本大震災対策本部 委員
  • 若手会員支援弁護士 チューター
  • 平成26年度、平成27年度、平成29年度 常議員会 委員
  • 平成27年度、平成28年度 中部弁護士連合会 理事

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事務所概要

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近隣の中区、千種区を中心に、地下鉄桜通線「高岳」駅から徒歩4 分、地下鉄桜通線・名城線「久屋大通」駅から徒歩6 分のご来所いただきやすい場所にございます。
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資格者氏名 桐井 弘司(きりい こうじ)
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